不動産鑑定士のみではなく、資格全般に言えることですが、その資格は取ったらどのくらいのメリットがあるのか、その資格を取ることによるメリットはどの程度のものなのか把握し、その資格勉強を始めるかどうかを検討したいというのが人情だと思います。
もちろん、不動産鑑定士という資格は、売買できるようなものではなく、市場性はないので、貨幣額をもって表示することは本来的にはできないのですが、どうにか参考になるよう「原価法」と「収益還元法」に似たようなものを適用し、前述の疑問に対する一つの答えを導きたいと思います。
資格取得を目指す人の確定、資格に対する分析
- 合格率
- 短答約30%、論文約15%、最終合格率5%程度。
- 受験層・合格者層
- 20~60才 平均合格年齢35歳~40歳
- やや勉強が得意な人が合格者の中心となる。年収も平均よりはやや高いと仮定。
- 確定
- 受験者の属性を 30歳 年収500万 を今回の評価の前提とする。
2000時間/年労働、50万円ボーナス年2回前提
- 受験者の属性を 30歳 年収500万 を今回の評価の前提とする。
原価法
- 再調達原価
- 論文合格までの勉強時間を「3000時間」と査定した。
- 実務修習の時間を「600時間」と査定した。
- 時給2,000円と査定した。
- 予備校費用 80万円 と査定した
- 実務修習費用 120万円 と査定した。
- 再調達原価
3,600時間 × 2,000円 + 80万円 + 120万円 = 920万円
- 減価修正
- 特段の減価はないと判断した。
- 積算価格
- 1ー2より、920万円と査定した。
収益還元法
- 純収益
- 現行年収と不動産鑑定士になった場合の給与アップの差額と考え以下のように査定した。
150万円/年
- 現行年収と不動産鑑定士になった場合の給与アップの差額と考え以下のように査定した。
- 還元利回り
- 不動産鑑定士資格は滅失するものではなく比較的リスクの低い人的資産と考えた。
不動産鑑定士の将来需要の動向も踏まえ、還元利回りを以下のように査定した。
3%
- 不動産鑑定士資格は滅失するものではなく比較的リスクの低い人的資産と考えた。
- 収益価格
- 現行30歳から70歳まで働くことを想定し、永久還元法の適用が妥当と判断した。
150万円 ÷ 3% = 5,000万円
- 現行30歳から70歳まで働くことを想定し、永久還元法の適用が妥当と判断した。
再吟味
年収500万円(内訳2000時間×時給2000円+ボーナス年100万)前提の30歳を前提とした。30歳でこれだけの年収を得ている人であれば、ある程度勉強もできるであろうことから、勉強時間3000時間で論文式試験に合格することは無理ない範囲と判断した。
原価法は、コストを積み上げて価格を出す手法であることから、勉強にかける人的資本(時間)に時給をかけて、それに必要諸経費である予備校費用や実務修習費用を加算して求めた。
収益還元法は、将来生み出すであろう純収益の現在価値の総和を求めることで価格を出す手法であることから、不動産鑑定士となった場合、ならなかった場合の収入の差を純収益と見立て、生涯で発生する収入の差額の現在価値の総和を求めるために、還元利回りを用いて還元した。
原価法による価格と、収益還元法による価格に乖離が生まれたが、その乖離こそが資格を取得したときのメリットといえる。
最後に
はじめは鑑定評価基準を準用したパロディのつもりで試算を初めて見ましたが、意外と資格取得のメリットが大きくかったです。どの投資でもそうですが、若いうちに始めるのが有利ですね。
もちろん人によって、年齢も、年収も、勉強時間も、もろもろ違ってきます。
また資格を取得することメリットは、独立資格であったり、会社に縛られなかったり、精神的に安定したりと、収入以外の部分も大きいとおもいます。
ご自身にあてはめ検討してみてはいかかでしょうか?
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