還元利回り、割引率の求め方について、考えられる方法を列挙します。
類似の取引事例との比較から求める方法
取引価格の事例とそれに対応する純収益の事例があれば、得ることができる。鑑定利回りを使うことも。鑑定利回りは実証的な取引を基にするものではないが、他の取引事例をもとに決めているものなので多数を見ると相場が外れているわけではない。
土地と建物等に係る還元利回りから求める方法
建物に係る還元利回りのほうが、建物の償却を考慮するため大きくなる。
借入金と自己資本にかかかわる還元利回りから求める方法
自己資本に係る還元利回りのほうがリスク分大きくなる。借入金は基本借入金利。
借入金償還余裕率(DSCR)から求める方法
ある機関の純収益を同期間の借入金元利返済額で除した値。
基本的には1を超えているもの。
(借入金返済より純収益が多い。キャッシュフローが発生している)
投資家意見による方法
利回りの前提となっている純収益が、NOI か NCFに注意する。
NCFは修繕費、資本支出を考慮し、NOIは資本的支出を計上しない。
NCF < NOI となる。
鑑定評価で用いられる純収益はNCF
投資家はNOIを意識していることが多い
割引率 R =Y – g
gはインフレ率。
DCFのキャッシュフロー上でインフレ率を見ている場合、以下の式が成り立つ。
インフレ率gがプラスの場合 R < Y
インフレ率gが0の場合 R = Y
一方、鑑定評価書では、還元利回りR が 割引率Y より大きくなっていることが見られます。
これはインフレ率をマイナスとしてみているというわけではないと考えられます。
割引率はDCFのキャッシュフロー上で変動リスクを見ていますが、
還元利回りはキャッシュフロー上で変動リスクを見ていません。
還元利回りではキャッシュフロー上で見れない変動リスクの分割引率より大きくなると考えられます。
※正確に言えば、還元利回りはいつ時点の還元利回りか、割引率はいつ時点の割引率か、キャッシュフローで見れる期間はどの程度を想定しているか、永久還元のための還元利回りか、有期期間の割引を想定している割引率か、と鑑定会社(鑑定士)ごとに理屈が存在するようです。すいません、すべての鑑定会社の理屈を知ったわけではないです。
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