不動産鑑定評価書の読み方・流れ

不動産鑑定評価書を読んだことないのに読まなくてはいけなくなった人

不動産鑑定評価基準をこれから勉強する人

そんな人に対して、まず難解な文書にあたる前に、不動産鑑定評価書がどのような構成になっているのか先ず理解していただくと、断然に読みやすくなると思いましたので紹介します。

不動産鑑定評価書に書かれていること

不動産鑑定評価書は、不動産の鑑定評価額が書かれた文章です。

鑑定評価額は、不動産鑑定士が対象不動産の適正価格を求めたものです。

その適正価格は、不動産鑑定士の判断であり意見なのですが、その判定の根拠が書かれているものと理解してもらって概ね間違いはありません。

判定の根拠を長々書かれているのですが、一定の形式に基づいて作成されています。

その一定の形式というのが、以下に示した流れです。

この他にも沢山書かれているので、正確さを求める先生には叱られるかもしれませんが、とりあえずの取っ掛かりの理解としては概ね間違いありません。

対象不動産の確定

先ず、何を評価するか明確にしなければなりません。

対象不動産はどこにあるのか。

対象不動産は土地なのか、土地と建物セットなのか。

数量はどのくらいか。

いつ時点の価格を求めるのか。

前提条件は付いているのか。

ここで、しっかり何に対しての価格を表示してある文章なのか説明してあります。

要因分析

一般的要因、地域要因、個別的要因の分析の順で行っていきます。

一般的要因 => 地域要因 => 個別的要因 の順で、分析範囲が狭くなっていきます。

この分析は「最有効使用」を把握するために行われているといっても過言ではありません。

※分析結果は、最有効使用判定だけでなく、手法適用や調整の段階でも使われますが。

  1. 一般的要因の分析
    日本全体の情勢等、マクロな観点から分析が行われています。
  2. 地域要因の分析
    不動産の価格は、どのエリアに属しているかで大体の相場が決まります。
    対象不動産がどのようなエリアにあるか、エリアを分析します。
    ここで、その地域の標準的な利用方法、すなわち標準的使用は何かを判定します。
  3. 個別的要因の分析
    個別分析では、対象不動産の個別性を分析し、最有効使用を判定します。
    地域分析で、標準的使用を判定しました。
    基本的は、対象不動産の最有効使用は標準的使用になることが多いです。
    ただし、不動産の個別性により、最有効使用は必ずしも標準的使用と一致しません。 

最有効使用の判定

最有効使用とは「不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用」のことを言います。

つまりは、最も妥当な使用方法です。

前述の、要因分析を経て、この最有効使用を判定します。

そして、この最有効使用を前提として、鑑定評価手法を適用する鑑定評価手法を選び、

またそれぞれの手法を用いて得られた価格で何か重要か判断し、鑑定評価額を求めます。

要因分析を通じて最有効使用を演繹的に求め、
最有効使用から帰納的に評価手法を適用しながら鑑定評価額を導いていく、
この論理の流れを意識すると、不動産鑑定評価書が読みやすくなると思います。

不動産鑑定評価手法の適用

不動産の価格の代表的な評価手法には、取引事例比較法、原価法、収益還元法等があります。

定義はおいておいて、極力わかりやすく簡易な言葉で説明しました。

※定義が必要なときは不動産鑑定評価基準でご確認ください。

  1. 取引事例比較法
    市場性に着目した手法です。
    周りで取引された価格と比べて対象不動産の価格はどの程度か判定します。
  2. 原価法
    費用性に着目した手法です。
    対象不動産を再度調達したときどのくらいの費用がかかるか計る手法です。
  3. 収益還元法
    収益性に着目した手法です。
    対象不動産が、将来どのくらい稼ぐか、その稼ぐ額の総和を対象不動産の価格とする手法です。

試算価格の調整

最有効使用を前提に、取引事例比較法で求めた価格、原価法で求めた価格、収益還元法で求めた価格

のどの価格が一番説得力があるか判定します。

鑑定評価額の決定

試算価格の調整で、一番説得力のある価格に一番重み付けをして、

加重平均をもって鑑定評価額を決定します。

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